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浜田信也
阿久沢正治

浜田信也

SHINYA HAMADA

――劇団☆新感線からオファーが来て、まずはどう思われましたか?

「やった! ついに来た!!」と思いました。僕、出身は東京なんですが大学の4年間だけ大阪にいまして、そこで入った演劇サークルの部室に新感線のビデオがずらっと並んでいたんです。中でも90年代の作品、たとえば『直撃!ドラゴンロック~轟天』(1997年)とか『PSY U CHIC 西遊記~仮名絵本西遊記より~』(1999年)とかを同期の連中と「みんなで勉強しようぜ」って言ってよく見ていました。もう四半世紀前の話ですけど「こういうネタを俺たちもやらなきゃ! いつか新感線に出られたらいいのになあ」なんて、言っていたんです。ですから今回の出演は、僕としては25年越しの夢が一つ叶ったなという想いです。実際、ホントに好きでこれまでもいろいろ観に伺っていましたし、新感線に出演したことのある先輩に稽古場の様子を聞いたりしていて。でも「僕もいつか出たいと思っていて」と打ち明けると、みなさん「おまえは向いてないんじゃない?」っておっしゃるので「そんなことないですよ!」とよく返していました。

――でも、確かに浜田さんが新感線に出られると聞いた時は意外に思いました。

そう、新感線に僕が出るって話をするとみなさん「えっ、本当?」ってリアクションになるんですよ。だけどそれって自分にとってむしろいいことかもしれないな、とも思っていて。僕も今46歳ですが、まだまだ新しいことにチャレンジしたい気持ちはありますし。となると、みんなが「えーっ!」って意外に思われるところに飛び込むこと自体、とてもいいチャレンジの場と言えそうですからね。

――そして同じく新感線初参加の福原充則さんが今回、脚本を書かれています。浜田さんは福原さんとも初めてなんですね。

そうなんです。福原さんの作品はよく観に行っていて、いわゆる小劇場つながりではあったものの、仕事をご一緒したこともなければ飲みの席でご一緒することもなくて。お互いに顔は見知っていて、偶然会えばご挨拶するくらいの距離感、関係性でもう20年ほど経つんじゃないかな。でもなぜ今回、僕に声をかけていただけたんだろう。少し前に近所のカフェに久しぶりに行った時、そこで福原さんが芝居の打ち合わせをしていらして。それが、その4~5年前にも同じ状況でその店でバッタリ会っていたという、なんだか不思議な再会だったんです。もしかしたらちょうどその頃、今回の脚本の構想中だったのかも。それでこの胡散臭い、いいヤツか悪人かもわからない、ちょっとカッコつけてるけど決してカッコよくはない微妙なラインの役どころで「浜田、いいかも」と思いついてくれたのかもしれない……というのが僕の仮説です(笑)。

――台本を読んだ感想はいかがでしたか。

僕が演じる阿久沢という人物は、出てきた瞬間からなんだか裏がありそうに思いましたね(笑)。だけどそういうキャラクターに僕の顔を思い浮かべてくださったというのは、とてもありがたくて。自分の俳優としての個性って自分ではよくわからないんですが、周りの方からは「おまえなんでそんなに胡散臭いの?」とよく言われるんです。

――そうなんですか? そんなに胡散臭い印象はないような(笑)。

知人や先輩たちからはしょっちゅう「ハマちゃんはどんなセリフでも、本当のところはそう思っていない感じがする」と言われてて。だけど周囲の方にそう言われたことで自分を再発見したというか、一回受け入れてその方向で進んでみたら、予想以上に周りの方々が面白がってくれたというか。そこから「そうか、俺は胡散臭くていいんだ」と思えるようになったんです。20代の頃はどう改善すればいいか悩んでいたのが、30代で別にそれでもいいと思えるようになり、そこから演劇の楽しさも違うフェーズに入れた気がします。

――でもそうやってベテランの域に入ってきてから、こうして初めての場所に飛び込んだ上に、歌まで歌うことになるとは(笑)。

いや、歌だってなんだって一生懸命やりますよ!

――とはいえ、あまり舞台上で浜田さんが歌っている姿を……。

見たことないですよね。歌ったことないですもん。だけど僕、実は歌ったり踊ったりするの、大好きなんですよ。自分のいる劇団の楽屋ではいつも歌ったり踊ったりしていて、後輩から「元気ですねえ」と呆れられているくらい。ですから、これまでは楽屋だけで披露していた姿を20年かけてようやく披露する日がやってきた、ということでしょうか。

――今回は初めての挑戦だらけ、ですね。

ここで、そういう巡り合わせになったのも嬉しいです。しかも<Rシリーズ>ですからね、生演奏にのせてしっかり歌わせていただきます!(笑) 実を言うともう10年以上前になりますが、右近健一さんがやられていた“短い演劇推進委員会”という企画に出演したことがあるんですよ。ライブハウスで生バンドで、約1時間で終わるステージで。

――その時は歌わなかったんですか?

あ、歌ったかな。だけどメインではなく、横でハミングする程度でした。その右近さんと久しぶりにご一緒できるというのも、今回とても嬉しいです。それにしてもこうやって25年越しの夢が叶うこと、福原さんとバッタリ会っていたことも含め、いろいろと今回は “ご縁”を感じます。演劇の神様が「おまえ、もうちょっと頑張れよ」と言ってくれている気もして、改めて「よーし頑張ろう!」と思っています!

最近自分に起きた事件を教えてください

今年の元日の話ですが、リビングで本を読んでいたら玄関で“カチャッ”って音がしたんです。きちんと閉まっていなかったドアが気圧で“カッ…チャ…”って静かに閉まった感じにも思えたけど、数分後また同じ音がする。誰かがゆっくり閉めた音みたいにも思えて、玄関を見に行っても誰もいない。おかしいなとしばらく玄関にいると、今度はリビングから“カチャッ”と嘲笑うかのように聞こえてきて……。ちなみにこれは未解決事件で、いまだに頻繁に鳴ってて。でも少し慣れてもきたし、幽霊だろうが実害はないからまあいいわ、仲良くしようぜと思ってます。

profile

2004年より前川知大主宰の「イキウメ」に参加。2013年、『ミッション』『The Library of Life まとめ*図書館的人生(上)』で、第47回紀伊國屋演劇賞個人賞を受賞。近年の主な出演作に舞台『プレゼント・ラフター』(26)、『ヴォイツェック』『ずれる』(25)、『奇ッ怪 小泉八雲から聞いた話』『Le Fils 息子』(24)、【映画】『10DANCE』(25)、『遠いところ』(22)、【ドラマ】『北方謙三 水滸伝』(WOWOW/Lemino)、『不適切にもほどがある!』(24・TBS)、『民王R』『JKと六法全書』(24・EX)など。劇団☆新感線には本作が初参加となる。