西野七瀬
コメント

西野七瀬

――2021年のYellow新感線『月影花之丞大逆転』以来、再び新感線の舞台に出るにあたり、現在の心境としてはいかがですか。

前回初めて新感線に参加させていただいて、こうしてまたもう一度お声をかけていただいたことが今はとても嬉しいです。やっぱり一回目より、二回目のほうがより嬉しく感じます。一回目はお試しというわけではないですけど(笑)、そういう感覚もあって。今回に限らずですが、どんなお仕事でも二回目にお仕事ができるのは本当に嬉しいことだなというのは以前から思っていました。

――また声がかかって嬉しかったということは……前回の経験はイヤではなかったってことですよね?

イヤではなかったです、もちろん!(笑)

――前回は想像以上にいろいろな格好をさせられていたので、念のためお聞きしてみました(笑)。

そうですよね。登場してからサングラスを取るまで、しばらくの間、観に来た友達も私だと気づけなかったそうですし(笑)。でも、それも貴重ないい思い出になりました。とても楽しかったです。

――良かったです(笑)。生田斗真さん、中村倫也さんと共演することに関してはいかがですか、共演経験はおありですか?

生田さんとは、初めましてです。でも今まで新感線に出られていた作品はDVDで拝見しています。新感線歴の長い先輩、という印象です。中村さんとは、私がまだグループにいた頃に映画でご一緒したことがあります。でもその時は、それほど共演シーンがなかったんです。たまに現れる先生という感じで、重たいシーンもなかったですし、今思うとかなり自由にやってらっしゃった気がします。だから今回は全然違う役柄、関係性になりそうだなと思っています。

――『バサラオ』の台本を読んだ感想としては、いかがだったでしょうか。

展開がとても目まぐるしくて「ああ、新感線!」と思いました。前回出演させていただいたあとも、何作品か拝見していたので頭の中でどんどんイメージできるようになってきていて。この場面で使われるのはきっとあのSEかな?とか、効果音のことまでいろいろと想像しました。そしてやはり今回も、裏切り合戦がすごいんです(笑)。読んでいる途中で、文字だけだと頭がこんがらがってしまって「今は誰と誰が組んでいるんだっけ?」とか。だけどとにかくすごく面白くなりそうで、稽古に入るのが俄然楽しみになりました。

――西野さん演じるアキノは、どういうキャラクターだと現時点では思われていますか。

すごく戦闘的で、古田さん演じるゴノミカドをお守りする、腕の立つ女戦士です。中島さんは「今回もまたクレイジーな役なんで」とおっしゃっていました(笑)。でも、台本を読んでいる分には、言動は確かにちょっとおかしいところがあるかもしれませんが、本人はそこまでおかしいとは思ってないんだろうなと思えて。でもそれも、難しそうですね。わざとそうしているわけではなさそうだから、根っからの、みたいな感じが出てくるといいのかなとも今の段階では思っています。

――今回は“ピカレスクロマン”ということで、登場人物もみんな悪い人というか、ある意味癖の強い人ばかりで、いい人がほぼいない印象ですが。

確かに、みんな悪い人なのかもしれないですが、でもアキノはまだ仲間意識というものを持っていそうだったので。悪者に見えることもあるけど、見方にもよるのかな、とも思っています。人のことを思える心もありそうですしね。

――今回の公演に向けて、西野さんが成し遂げたい目標やテーマなどはありますか。

私が今、一番恐れているのは、今回が劇団☆新感線史上最多の公演数だということです。もう、めっちゃ怖いです。最後までちゃんと私、立っていられるんでしょうか。

――それが一番の心配であり、目標でもあると。

今年で30歳になるんですけど、たぶんこの座組では最年少になりそうで。「若いから大丈夫だよ」ってみなさんに思われていそうなんですが、全然大丈夫じゃないですから!(笑) 「グループの時、踊っていたじゃない」ともよく言われるんですけどあれからもう5年くらい経っていますし、ふだん何の運動もしていないので本当に体力がないんです。すぐ、息が上がっちゃう。

――だけど今回、アクションにも挑まれると聞いていますが。

そうらしいんですよね……。いのうえさんも「今回はアクションだね!」とおっしゃっていて、「うわー、どうしよう!」と思っているところです。ひとまず、なんとか稽古期間中にしっかり体力をつけていくつもりです。

――実際、稽古に出ていればかなり体力がつくという話は聞きます。

生活が規則正しくなりますし、ストレッチも毎日するようになりますので、それだけでも身体が変わっていくかなと。

――ちなみに、もともと身体を動かすのは得意なほうですか。

いえ、全然です。運動も、特に何もしていないですし。走るのが苦手なんです。ヨガとか、静かな運動は好きなんですけど。あとは、たまに家で縄跳びをやるくらいです。そういう、場所を取らない運動のほうがまだできますね。

――前回、初めていのうえさんの演出を受けてみた時のことを振り返ると、どんな印象が残っていますか。

それこそ、少しダンスの振付に近いなと思いました。何歩進んでからこっちを向いて!であったり、手の角度は絶対にこう!とか。それは私としては振りを覚えるように、意外とすんなりと受け取っていた気がします。

――今日はビジュアル撮影でしたが、初めて衣裳を着てみてのご感想は。

テーマは“派手”だと聞いていたんですが、とても可愛かったです。着物っぽい袖がついているのに、襟元は洋風でスタンドカラーみたいなデザインになっていて。スタンドカラーが好きなので、嬉しかったです。あと、撮っていただいた写真をモニターで見てみたら、なんだかすごく中性的で一瞬自分じゃないみたいでした。あのメイクだと、ちょっと男性にも見えそうでしたね。

――確かに。とても凛々しかったです。

眉毛を変えるだけでだいぶ違ってくるんでしょうね。一回全部消してから描いていたので。自分が消えている感じがして、不思議でしたし面白かったです。

――動きに関してはどうでしたか。

弓をひいてポーズを保つのは、とても大変でした。弓の構えは、やったことがなかったのでなかなか慣れなくて。まだ、持たされている感じでしたね。だけど本番でもたぶん弓をひく場面はありそうなので、たくさん練習しなければいけないな、と思いました。

――今回、生田さんが演じるヒュウガの掲げる信条が物語のキーワードになっていくので、それにちなんで西野さんが舞台に立つ上で信条にしている、大事に思っていることとは。

舞台のお仕事は前回の新感線が初めてで、その後『みんな我が子』(2022年)をやり、今回の『バサラオ』でようやく3度目の舞台です。経験値はまだまだ少ないのですが、とにかく全身で演じて、それを見ていただくということが映像とは違う部分なのかなとは思っています。表現の仕方が、全く違ってくるな、と。でもまだ体感としてもそのくらいの認識なので、舞台のことは全然わかっていないほうですね。自分がお客さん側で舞台を観に行った時には、ステージ上から気が飛んでくるような感覚を味わえることがあって。役者さんが全身で表現している姿をその場で体感できるというのも舞台ならではの良さですし、好きなところです。「わあ、こんな風に表現できていいなあー」って、憧れたり、感化されてしまうことも多いんです。どんどん心が動かされたり、観たあともずっと深く残るものがあったり、とても影響を受けたりすることもありますし。ぜひ今回の舞台からも、そんな風にお客様にいろいろなことを感じていただきたいなと思っています。

thank you so much.

ゲームがとにかく好きなので、ゲームを作ってくれたクリエイターや、企画してくださった方、細かいプログラミングをしてくださった方に、本当にありがとうございます!と伝えたいです。自分がやっていないゲームもYouTubeで実況動画を見たりしますし、ファンの方が考察しているページを読んだりもします。それらを見るだけで楽しいし、感動するんです。RPG系のストーリーに弱いみたいで、もう映画みたいですね、すぐ感情移入しちゃう。ゲーム音楽も大好きで、サントラもよく買っています。もう、すべてのゲーム関係者に感謝!です。

profile

(にしの・ななせ) 2011年乃木坂46第一期生オーディションに合格し、デビュー。18年に乃木坂46を卒業以降、映像作品を中心に多数出演し女優として活躍の場を広げる。21年に出演した『孤狼の血 LEVEL2』で、第45回日本アカデミー賞「優秀助演女優賞」「新人俳優賞」、22年に出演した『恋は光』で第44回ヨコハマ映画祭「最優秀新人賞」を受賞。近年の主な出演作に、【ドラマ】『1122 いいふうふ』(24・Prime Video)、『大奥』(24・CX)、『ポケットに冒険をつめこんで』(23・TX)、【映画】『君の忘れ方』(25年公開予定)、『帰ってきた あぶない刑事』『52ヘルツのクジラたち』『ある閉ざされた雪の山荘で』(24)、【舞台】『みんな我が子』-All My Sons-(22)などがある。劇団☆新感線には『月影花之丞大逆転』(21)以来2作目の参加となる。