1985年「ヒデマロ2~銀河烈風斎の逆襲」より劇団☆新感線に参加。マッドな博士から薄幸の美男子まで幅広く担当し、現在の劇団の中枢を担う存在。また、人物の観察力が鋭く、イラストも得意なことから雑誌のコラムなどでもその多彩な一面を見せる。劇団公演以外の近年の主な出演作品に、【ドラマ】「半沢直樹」(20・TBS)、「仮面ライダーウィザード」(13・EX)、「勇者ヨシヒコと悪霊の鍵」(12・TX)、【映画】「恐怖人形」(19)、「これでいいのだ!!映画★赤塚不二夫」(11)、【舞台】「りぼん、うまれかわる」(21)、「オリエント急行殺人事件」(20)、「麒麟にの・る」「BURAI2」「+GOLD FISH」(19)、などがある。

粟根まこと
コメント

劇団☆新感線もいろいろなモチーフで公演をやっていますが、侍の話が多めなので術師の話は久しぶりです。そういえば『野獣郎見参!』の初演で私は阿倍西門(あべのさいもん)という、安倍晴明っぽい陰陽師の役をやっているんですよ。今回はその安倍晴明がテーマということで、既にご存知の方も多いでしょうしイメージもしやすいのではないかと。しかも晴明役が中村倫也くんですから。というかこの企画自体、中村倫也くんに安倍晴明をやらせるというところから始まっていますのでね。ちょっと飄々としつつ人を食ったような優しい雰囲気込みで、眠たげなクセモノ陰陽師を演じていただけることと思います。私は藤原近頼という左大臣で、聖子さん演じる元方院に疎まれている晴明を庇護する立場になります。

加えて、吉岡里帆さんが狐霊を演じるというのも注目ですよね。CMでのあの健気で優しげな感じとは違い、今回は弟を叱咤しながら必死に晴明を助けていくアクティブなキツネさんが見られそうです。また向井理さんが演じるのは賀茂利風、陰陽師の宗家である賀茂家の嫡男で、実は九尾の狐に憑りつかれている人物。それを、あの九頭身で演じていただけるんですからそこも見どころでしょう。あとはお馴染みの人たちですよ。数年前、回る劇場の各シリーズで苦労を共にした戦友とも呼べる浅利さんと竜星さんと千葉さん。友貴くんはあのシリーズは経験していませんが劇団には何度も出ていただいていますから。しかも浅利さん、竜星さん、向井さんとは僕、チームが違ったから今回が初共演で。より、楽しみなんです。

物語自体は比較的シンプルなお話だと思っています。善悪がハッキリしていて、その両方ともが強くて。その強弱が拮抗したり逆転したり。最近のかずきさんの脚本って人の心の弱さや暗さに触れる作品も多いのですが、今回は青年マンガではなく少年マンガの印象です。久しぶりのフルスペック新感線を、気持ちよく観ていただけるのではないかと思っています。

陰陽師といえば夢枕獏さんの小説、さらにはそれを原作にした岡野玲子さんのマンガも有名なので、もし予習をされるならそれらを読んでいただければ。もちろん読まずとも楽しめますが、たとえば式神とはなんなのかとか、悪党とはとかがわかると理解の補助になるかもしれません。蘆屋道満とのからみや、貴族との関係もチラッと目を通しておくとよいかも。蘆屋道満役の千葉さんがいかにも役にピッタリで、台本を読みながら姿が目に浮かびました。また式神やあやかしとして劇団員が百鬼夜行のごとくぞろぞろと出てまいりますので、そこもどうぞお楽しみに。

キツネに化かされたと思ったエピソード
ひとり暮らしを始めた30歳の頃に初めて固定電話をひき、留守録機能付きの電話を買いまして。開通後、誰にも番号を教えてないのに留守電のランプがついていたんです。不思議に思っていると、その後も毎日2、3件無言電話があり、出るとプツッと切れる。ある時、うちの番号がとあるSMクラブと似た番号だとわかって。結局、日に2、3本そのお店は営業機会を損失していた、というお話です。

Profile 1985年「ヒデマロ2~銀河烈風斎の逆襲」より劇団☆新感線に参加。マッドな博士から薄幸の美男子まで幅広く担当し、現在の劇団の中枢を担う存在。また、人物の観察力が鋭く、イラストも得意なことから雑誌のコラムなどでもその多彩な一面を見せる。劇団公演以外の近年の主な出演作品に、【ドラマ】「半沢直樹」(20・TBS)、「仮面ライダーウィザード」(13・EX)、「勇者ヨシヒコと悪霊の鍵」(12・TX)、【映画】「恐怖人形」(19)、「これでいいのだ!!映画★赤塚不二夫」(11)、【舞台】「りぼん、うまれかわる」(21)、「オリエント急行殺人事件」(20)、「麒麟にの・る」「BURAI2」「+GOLD FISH」(19)、などがある。