松井玲奈

松井玲奈 コメント

私、もともと舞台が好きで芸能界に入りたいと思っていたんです。ですからこれまでにいろいろな舞台を観てきたのですが、その中でも劇団☆新感線を『シレンとラギ』(2012年)で初めて観て、ものすごく感動しまして。その時から新感線は自分の舞台役者としての人生を考えた時にも絶対にどこかで出させていただきたい!と願ってきた目標であり、夢のひとつだったんです。ですから今回お声をかけていただいて、まず思ったのは「これは本当に現実?」ということでした。しかも、ヒロインという大事な役どころを任せていただけるなんて。今は、持てる限りの力を尽くしてぶつかっていかなければ!という想いでいっぱいです。この気持ちが空回りしてしまわないよう、稽古に入るまでにもうちょっと力を抜いておいたほうがいいかなと思っております(笑)。
新感線の作品は緩急がわかりやすくあって、シリアスなところではグッと締めて、お客様に楽しんでもらうところではめいっぱいみんなで賑やかにエンターテインメントを届ける。この両面があるところに、私はとても魅力を感じています。どちらか一本というカンパニーが多い中、それを絶妙に織り交ぜながら今できる最大限のエンタメをお客様に届けたいという想いを、新感線を観るたびに感じるんですよね。どの公演の時も、アッと驚くような仕掛けだったり演出だったりが必ず待っているので毎回ワクワクします。
今回の『ミナト町純情オセロ』の原作であるシェイクスピアの『オセロー』も読んだ上で、青木豪さんの書かれた脚本を読むと、ベースになっている物語の筋もセリフもほとんど同じなのに、時代や設定を変えて劇団☆新感線らしいエッセンスが加わることで、こうも身近に感じる物語になるんだということにまずビックリしました。シェイクスピアって、どこか難しいイメージがあったんですが、セリフが関西弁になることでかなりストンと落ちてきやすくなりますし、世界観に入りやすく、読んでいて本当に面白かったです。私は特に、高田聖子さん演じるアイ子の言葉ひとつで物語がどんどん転がっていく、その展開の仕方がすごく面白いなと思いながら読みました。
初演の舞台映像も拝見したので、今はまだ石原さとみさん演じた初演のモナのイメージが自分の中に残っていまして。そこはベースに置きながらも、私が演じるモナらしさもしっかり出していきたいと思っています。そのためにどうすればいいかは、まだまだ考え中ですけれども……。だけど、台本を読んでいてとても芯がある人だという印象があったことと、彼女の、人のために動きたい、人のために尽くしたいという気持ち、その部分を大切にして愛情深い人にしたいなと思っています。
オセロを演じる三宅さんとは、今回初めて共演させていただきます。一方的に見ているイメージとしてはとても明るくて楽しい雰囲気のある印象なので、オセロとモナがはしゃいだり、とても楽しげにしている場面ではどうやったら二人が幸せそうに見えるかを一緒に考えながら作っていけることが今からとても楽しみです。三宅さんが持つ明るさを私もいっぱい受けつつ、それを返してもいきたいなという風に思っています。
それから、実は粟根まことさんとは『オリエント急行』(2020年)でご一緒していて、その時もとてもお世話になっているんです。その点では今回、とても心強く思っています。劇団公演に客演として入る形になるのも初めてですし、いつも舞台を拝見していてあの中に混ざりたいと思っていたので、そこにいよいよ自分が飛び込めることはとてもうれしいですし、精一杯頑張ります。みなさんの中で勉強させていただきながらも、ちゃんと自分もやるべきことをやって、ぜひ殻を破りたいと思っています。とても楽しみです。

エピソード:これは悲劇だ!

私、猫を飼っているんですけど、ある時ベッドの上にフンをされてしまっていたことにまったく気づかずにベッドメイキングをしてしまったんです。お布団をフワッと上げた瞬間に、寝室中に猫のフンが飛び散ってしまって。あれは悲劇でした! なんだかまるでドラゴンボールが七つ飛び散っていったかのようで……何の願い事も叶わないのにそっと拾い集めました……。とても悲しかったです(笑)。