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INTERVIEW

OFFICIAL COMMENT

――“LAST STAND”として改訂された新たな台本を読んでみて、感想としてはいかがでしたか?

今回は『ワカドクロ』が土台になっているんだ、とまずは思いました。そこに、新たな場面が加えられていたりするわけなんですが、なぜもともと長い芝居を、またさらに長くしたんだろう?とも思いましたけど(笑)。とはいえ、これまで具体的に描かれていなかった登場人物たちの背景が、今回の台本には書かれていたりするので。今まで何回上演してきたんだろうというほど繰り返し演じられてきた演目ですが、今回はその集大成でありつつ、それでいてまた新たにチャレンジもしているというのもすごいことですよね。

――そもそも太一さんにとって『髑髏城の七人』という作品は、どういう存在ですか。

僕自身のスタートとなった作品です。僕が自分の劇団以外で、人生で初めて観た舞台こそ『髑髏城の七人』だったので。その時から、この作品は僕の目標とも言えないくらい、夢のような場所にあるものでした。そう考えると、今は当たり前のように新感線の舞台に出させていただいていますけど、あの時の夢が叶ったんだよな、と思うと感慨深いです。

――しかもその『髑髏城』に一度出ただけではなく、2011年版の『ワカドクロ』と2017年の『鳥髑髏』では蘭兵衛をやり、2017~18年の『月髑髏《上弦の月》』では天魔王をやり、そして今回は満を持して捨之介を演じることになったわけですが。こうして同じ演目で違う役をやるということ自体は、太一さんの中ではそんなに珍しいことではないかもしれない?

まあ、自分たちの劇団含め、大衆演劇で考えたら同じ芝居でいろいろな役を経験することは、日常的なことではありますが。

――でもやっぱり、『髑髏城』だとちょっと違ったりしますか。

いや、ここまで来るともう、どうでもよくなりました(笑)。たとえば、ステアラ(IHIステージアラウンド東京)でやっていた一連の期間中だったら、もしかしたらいろいろ重圧を感じていたかもしれないですけど。あの期間中は本当に、さまざまな方がさまざまな捨之介を演じていきましたからね。今はなんか「別に、もういいか!」みたいな、妙な吹っ切れ方をしています。

――では、変にプレッシャーになることもなく?

想像では、すごくプレッシャーを感じるかもしれないなとは思っていたんですけど、それが今のところ、全然なくて。

――ゼロですか?

本当に、ゼロですね。まあ、今まで僕が『髑髏城』に出た時は蘭兵衛の時も天魔王の時も、いつもイチ役者としてのびのびとやらせてくれる捨之介が毎回いたので。ですから今度は僕が逆にみんなを、サポートするわけではないですけど、しっかり受け止める側になりたいと思っています。

――捨之介自体が、そういうキャラクターですよね。

そうですね。捨てたいけど、捨てきれない。受け流してるけど、受け流せてないような。

――周りの人たち、それぞれとしっかり相対して包んでいくような。

だから、なんだか今回はすごく新鮮な感じがあります。

――ご自分としては、現時点ではどんな捨之介にしたいなと思われていますか。

いや、まだそこは全然考えていません。稽古が始まってから、今回の共演者の方々がそれぞれどういった天魔王や蘭兵衛、沙霧といった、捨之介の身近なキャラクターたちを作っているのかを受けてから考えてみたいと思っています。

――その共演者の顔ぶれをご覧になって、どんな座組になりそうだと思っていますか。

これは、だいぶ新鮮なのか、新鮮じゃないのか(笑)。ちょうどいいバランスかもしれないですけど、半分くらいは馴染み深い人たち、半分くらいは初めまして、という。だけど、みなさん大人の方たちですからね。『ワカドクロ』の時のような、ビリビリした感じにはならないのではないでしょうか。

――『ワカドクロ』の時って、そんなにビリビリでしたか?

ビリビリ、バチバチでしたね(笑)。この間、小栗(旬)さんと二人で会った時に「捨之介をやることになったんですよ」と報告をして、「あの当時どんな感じでしたか?」みたいな話をしたんです。だけど当時は小栗さんも、(森山)未來さんも20代だったんですよね。そりゃあ、あんな感じになるわなと思いました(笑)。でも、それはそれで今とはまた違う、新感線の別の作り方だったというか。今思うと、ですけどね。『髑髏城の七人』の、また一つの新たなスタートになったような公演でもあったので。それにしてもきっと、みなさん並々ならぬ想いを持って稽古場に来るだろうから。僕としてはなんかちょっとニヤニヤしちゃいそうな気もします。

――ニヤニヤしながら、見守る立場に。

友貴とか、張り切り過ぎちゃうかもしれないな、そんな姿が目に浮かびますね。今回は彼にとって、やはり相当なチャレンジですし、作品への想い入れもきっと強いでしょうし。

――初めての『髑髏城』ですしね。

そう、だからちょっと、そっちに対してはソワソワします(笑)。

――大丈夫かなって?(笑) 劇団朱雀にも出られている浜中文一さんや木村了さんもいらっしゃるし、馴染み深い顔ぶれは確かに多そうですね。他に、特に気になる方はいらっしゃいますか。

みなさん、それぞれに気になりますが、蘭兵衛だけがダブルキャストというのもちょっと気になっています。

僕も『月髑髏』の時は2チーム制という形でしたけど、同じ稽古でもキャストが違うと、全然変わってくるんですよ。それが今回は、蘭兵衛役だけが交代しながら稽古をすることになるわけですから、そのことで逆に僕たちはどうするのかというのは、ちょっと未知の領域ですね。

――改めて、中島かずきさんの脚本の魅力について語っていただけますか。

あて書きって、いろいろなタイプがあると思うんですが、今回はもともとあるストーリーに、その役者の持つストーリーがちょっと重なって見えるところがあったりするんです。きっとそれも、あて書きの一種だと思うんですけど、たとえば今回は荒武者隊が劇団員の皆さんなので、台本を読んでいるだけで皆さんの姿が浮かんできて、お芝居と現実とが重なってくる部分もあったりして。ちょっと、うるっとなっちゃいました。そういったところは、役者たちそれぞれをしっかりと見てくれているかずきさんだからこその脚本になっているんじゃないかな、と思っています。

――そして、いのうえさんの演出も随分長い期間、受けて来られましたけど、最近の傾向としてはどんな模様ですか? 何か変わったところなどありますか?

いのうえさんからは、演出を受けるたびに新たなことを提示していただけますし、やらせてもくださるので。毎回、僕がスタンダードに出来ることにプラスして新たに挑戦することを考えてくださって、その両方をしっかりやらせてくれるんです。チャレンジが毎度あるということは刺激にもなりますし、その度に変化を実感できています。

――今回は、どんな新しいことをやらせてくれるかという楽しみもありますね。

実際、今回この役に選んでいただけたのもきっとそういうこと、新たな挑戦なんだと思います。前までの自分だったら、想像がつかなかったですから。

――役柄的にも新たなチャレンジなんですね。

役柄というか、立ち位置というか。『天號星』(2023年)が、大きかったかもしれないです。あれは古田(新太)さんと中身が入れ替わることによって、僕が古田さんのポジションを演じることになって。それも初めての経験だったので。

――あと気になるのは捨之介と、浜中さん演じる贋鉄斎との百人斬りのシーンがどうなるか。観る側としてはとても楽しみにしているのですが。

もしかしたら、久しぶりじゃないですかね。贋鉄斎がちゃんと動けるのって(笑)。

――そうかもしれませんね(笑)。

『花髑髏』(2017年)の時の古田さんとか、ローラースケート履いてましたから。しかもそんなにスピードも出てなくてね。ステアラの他のSeasonでも、ぐるっと回りながらみんなで順番に殺陣を繋いでいったりしていたし。『ワカドクロ』の時は百人斬りをするのは贋鉄斎ではなく、兵庫でしたし。僕が最初に観た『アオドクロ』(2004年)では三宅弘城さんで、確かすごいアクロバットをされていたような気がする。

――そうでしたね。そうか、今回は身体が動く贋鉄斎だから。

そうですよ、ここは文ちゃんに、思いっきり動いていただきましょう!(笑)

――では最後に、お客様に向けてのお誘いメッセージをいただけますか。

ついに、愛され続けてきた『髑髏城の七人』がラストということになりました。おそらくみなさん、それぞれに一番愛する『髑髏城』があると思いますが、僕自身にとっても俳優人生の中ですごく大きな転機となった作品ですし、自分を育ててくれた作品でもあります。本当に何度も出してもらっていて、これだけいろいろな役を演じてきたので“髑髏城俳優”と呼ばれないかと心配しているくらいですが(笑)。みなさんが大切にしてきた『髑髏城』を、僕たちも最後にしっかりやらせてもらいたいと思っています。ぜひ、見届けに来ていただけたら嬉しいです。

TO ALL CAST

初めての『髑髏城の七人』は? 当時の感想は?

2004年の『アオドクロ』です。僕にとっては、それが初めての新感線でもあって。それまで見たことのない照明もすごかったですし、ロックの音楽で時代劇をやることも、とにかくすべてが初体験だったのでとても衝撃を受けました。立ち回りにしても、自分たちがやっているやり方とは全然違いましたし。本当に自分にとっては新しい世界でしたね。

PROFILE

早乙女太一(さおとめ・たいち) 1991年9月24日生まれ 福岡県出身
大衆演劇「劇団朱雀」の二代目として4歳で初舞台を踏み、全国で公演を行う。2003年に北野武監督の映画『座頭市』に出演したことで、“100年に1人の天才女形”としてその名を広く知られることとなる。15年の劇団解散以後は、舞台やドラマ、映画出演など活躍の幅を広げている。19年の「劇団朱雀」復活公演より二代目座長として総合プロデュースを手掛ける。25年・26年には、芸歴30年を記念し自身で総合プロデュース・演出を手掛けた『TOKYO INSIDE CLUB “The Last Dance”/ OTOGI -TAICHI SAOTOME 30TH ANNIVERSARY STAGE-』を上演した。近年の主な出演作品に、【舞台】『蜘蛛巣城』(23)、【映画】『パリに咲くエトワール』(26・声優出演)』、『まる』『帰ってきた あぶない刑事』(24)、【ドラマ】『BLOOD&SWEAT』(WOWOW・26)、『ドンケツ』『ドンケツseason2』(DMM TV・25)、『イクサガミ』(Netflix・25)、『怪物』(WOWOW・25)などがある。劇団☆新感線には『爆烈忠臣蔵~桜吹雪THUNDERSTRUCK』(25)以来、本作が9作目の参加となる。