STAFF

Written by Yutaka Kuramochi

【作】倉持 裕
COMMENTS
『乱鶯』に続き再び脚本を書かせていただけるのは、うれしいですしとても光栄です。『乱鶯』の時は、台本だけ書いた作品で、あそこまで演劇界の仲間からたくさんの感想メールをいただいたことは初めてでした。それもほぼ絶賛だったので、同業者には受け入れられているんだなとは思いましたが、また声がかかるとは。それもあって、前回よりはもう少し堂々と構えて書けた気がします。 前回は結構シリアスでしたが今回は毛色を変えて、もう少し軽くポップなものになっています。いのうえさんからのお題は、黒澤明監督の『隠し砦の三悪人』と『走れメロス』を合わせたような話ができないかということでした。それで古田さんがお姫様を守って長い旅路をいくという一本筋が見え、そこにもうひとつの枷として人質を取られていることにして。その段階でキャスティングに池田成志さんの名前があったので、最初は成志さんが人質の役回りかなとも思いましたが、それだと最後しか古田さんとからめなくなってしまいますからね。それで一緒にお姫様を守って旅をする“バディもの”にしたわけです。 自分の作品をいのうえさんが演出してくれることに関してはもう、感心と尊敬しかないです。こちらがイメージしたもののスケールを何倍も膨らませてくださいますから。でも、闇雲に派手に大きいわけでもない。あれは膨大な人数の観客の前で培ってきた経験がないとできないものなんだろうなと思います。今回も一体どういう演出がつくのか、とても楽しみです。
1994年、俳優として岩松了プロデュース公演に参加したことをきっかけに岩松了に師事し執筆活動をスタート。2000年に劇団「ペンギンプルペイルパイルズ」を旗揚げ。主宰を務め、『2mの魚』以降、劇団作品の脚本・演出をすべて手掛ける。04年の戯曲『ワンマン・ショー』にて第48回岸田國士戯曲賞を受賞。舞台戯曲、演出、ドラマ執筆、ドラマ企画監修など分野を問わず活動し、注目作を生み続けている。劇団公演以外の近年の作・演出作に、『火星の二人』(18)、『誰か席に着いて』『鎌塚氏、腹におさめる』『お勢登場』(17)、脚本・演出作に、『上を下へのジレッタ』(18)、脚本を手がけた作品に、ミュージカル『HEADS UP!』(17,15)など多数。『弱くても勝てます~青志先生とへっぽこ高校球児の野望~』(14・NTV)、『信長のシェフ』(13・EX)などテレビドラマの脚本も担当しているほか、『LIFE!~人生に捧げるコント~』(NHK)ではコント執筆も行い、19年に公開された『十二人の死にたい子どもたち』では初の映画脚本を務めた。劇団☆新感線には『乱鶯』(16)に続いて、2作目の書き下ろし作品となる。
【受賞歴】
第48回岸田國士戯曲賞(『ワンマン・ショー』の脚本において)
Directed by Hidenori Inoue

【演出】いのうえひでのり
COMMENTS
今回はこれまでの“いのうえ歌舞伎”ともまた違う、少年マンガというより大人のリアルな会話を楽しめる時代劇です。クロサワ映画の娯楽時代劇へのオマージュという面もハッキリありますね。倉持くんの台本が上がってきて、すごく会話が面白くてワクワクしました。『偽義経冥界歌』とは、ある意味真逆のイメージの作品で、いのうえ歌舞伎≪亞≫としたのはオルタナティブ、“もうひとつの新しい”いのうえ歌舞伎だということ。つまり新感線はファンタジーとリアル、そのどちらもできるんだ、ということです。 ここは、あえてオーソドックスな時代劇にしたいですね、魔術が出てきたりするファンタジーではないので特別に大きな仕掛けは必要ない。今回は古田が主役ですし、こうして劇団員がメインでいく公演の場合は、実年齢に合わせるとリアルのほうは等身大で、逆に年を取ったからこそできる芝居の間もありますし、この年齢じゃないと出せない重さや色気もありますから。そういう意味でも今、やるべき芝居だと思います。 キャストは全員、劇団員か、ほぼ準劇団員で揃えました! と言えるくらいの馴染みのある、信頼できる面々です。こういう新感線TRIBEたちに支えてもらいつつ、劇団員も適材適所でちゃんと活躍する芝居になっています。今回、古田と太一は初共演なんですが、古田が“三船敏郎さん”なら太一はクロサワにおける“仲代達矢さん”的な役柄。新旧剣豪スターが対決!みたいな感じも楽しんでいただける、骨太な時代劇になると思います。
1980年、劇団☆新感線を旗揚げ。以来、劇画・マンガ的な世界観にあたかもコンサート会場に来ているようなド派手な照明と音響を用いた構成で、演劇ファンのみならず音楽ファンをも虜にしてきた。笑いに特化した活劇の“ネタもの”では脚本も手がける。時代活劇の“いのうえ歌舞伎”ではアクションとケレン味を効かせた演出に、ドラマのうねりをのせた独特の手法で、小劇場の枠を超えた新しいエンターテインメントの形として“新感線”というジャンルを確立させた。2017年~18年にかけてはアジア初の360°客席が回転する劇場「IHIステージアラウンド東京」でのロングラン公演を成功させた。劇団本公演以外にも、『近松心中物語』(18)、『熱海殺人事件』『阿弖流為』(15)、『鉈切り丸』『断色』『今ひとたびの修羅』(13)、初めて本格的にシェイクスピア作品に取り組んだ『リチャード三世』(08-09)など、プロデュース公演の演出も多数手がけている。
【受賞歴】
第14回日本演劇協会賞(『髑髏城の七人』『SHIROH』の演出において)
第9回千田是也賞(『メタルマクベス』の演出において)
第57回芸術選奨文部科学大臣新人賞(『メタルマクベス』の演出において)
第50回紀伊國屋演劇賞個人賞(『熱海殺人事件』の演出において)
STAFF CREDIT
美術 池田ともゆき
照明 原田 保
衣裳 前田文子
音楽 岡崎 司
振付 川崎悦子
音響 井上哲司
音効 末谷あずさ 
大木裕介
殺陣指導 田尻茂一 
川原正嗣
アクション監督 川原正嗣
ヘア&メイク 宮内宏明
特殊効果 南 義明
映像 上田大樹
大道具 俳優座劇場舞台美術部
歌唱指導 右近健一
演出助手 山﨑総司 
佐藤ゆみ
舞台監督 芳谷 研 
篠崎彰宏
    
宣伝美術 河野真一
宣伝写真 相澤心也
宣伝画 久保田珠美
宣伝衣裳 前田文子 
東京衣裳
宣伝ヘアメイク 宮内宏明
宣伝ウィッグ M’s factory
宣伝かつら アート三川屋(川口博史)
宣伝小道具 蕪木久枝 
高津装飾美術
宣伝・公式サイト
制作運営
ディップス・プラネット
制作協力 サンライズプロモーション東京
    
宣伝 浅生博一 
長谷川美津子 
森脇 孝
制作助手 大森祐子 
伊藤宏実 
上村幸穂
制作デスク 高畑美里
制作補 辻 未央
    
制作 柴原智子
エグゼクティブ
プロデューサー
細川展裕
    
東京公演 【主催】ヴィレッヂ/
劇団☆新感線
福岡公演 【主催】博多座
大阪公演 【主催】ABCテレビ/
サンライズプロモーション大阪
    
企画・製作 ヴィレッヂ/
劇団☆新感線