BACK TO CAST CAST VIDEOS

INTERVIEW

OFFICIAL COMMENT

――劇団☆新感線のヴィジュアル撮影を初めて経験されて、いかがでしたか。

なんだか、もう稽古が始まったような気分になりました。序盤は、スタッフの方から言われるがままに動いていたんです。自分は歌舞伎役者で他にも引き出しがあるけれど、ここで出してもいいものか?と、ちょっと迷っていたので。だって一人だけ飛び道具持ってきました!みたいな感じになってもなぁ、と思って。だけど途中で「こうしてみてもいいですか?」と聞いてみたら「えっ、やってやって!」と言っていただけて。

――それで、後半の撮影はあんなにノリノリで大暴れ状態だったんですね(笑)。

周りの方たちもみんなノっちゃって。なんだかもう嵐の中に飛び込んだ気分になってました(笑)。

――そもそも、新感線のことはご存知だったんですか?

もちろんです。だけど、いろいろな作品を観てきているはずなんですがどれをどう観たか、記憶が定かでなくて。はっきり覚えているのが小栗旬さんが捨之介だった『花髑髏』(2017年)です。“花鳥風月”の“花”、初手ですね。すごく面白かったです。あの劇場(IHIステージアラウンド東京)も「ここいいな、楽しいなー」って思いました。

――それが初めて見た新感線だったんですか?

いや、その前にも絶対、何作品か観ていると思うんですけど。小さい時から、やっぱり他の演劇公演よりも自分の業界的にはちょっと近い部分があるように感じていたし。だって“いのうえ歌舞伎”って書いてありますからね。

――確かに(笑)。

それに(松本)幸四郎さんたち、先輩方も大勢出ていらっしゃった、新橋演舞場での歌舞伎NEXT『朧の森に棲む鬼』(2024〜25年)みたいな舞台もありましたし。ですから自分の中では「もしかしたらそんなに遠くない世界なのかもしれない、いつか一度でもいいから出演させてもらえないかな」なんて思ってはいたので。最初にお話を伺った時は「おお~、チャンスが来た!」と、嬉しくなりました。

――実際に今回の脚本を読んでみて、どう思われましたか。

もともと舞台で観ていましたので、自分の中に残っているイメージがそのまま浮かんできて。それと読んでいて思ったのは、やはり台詞のリズムが「ああ、ありがたいな」と思えたんです。

――ありがたい?

普通のストレートプレイだともっと自由度があって、自分なりにいろいろ作っていかなきゃいけないものですけど、たとえば七五調の部分とかは、ある程度リズムが決まっているものなので。そこはもともと自分がやってきた世界に近い部分でもありますしね。なので、読んでいるだけで音として入りやすい。だからなんだかすごくありがたく感じるのかもしれません。やはり、このいのうえ歌舞伎『髑髏城の七人』自体の進め方みたいなものはずっと前からあるもので、そこにそれぞれの役者が当てていく形なんじゃないかと思っていて。そのベースの部分を稽古でさらに自分の中に吸収して、そこに自分の持っている強みを重ねていくことができたら、と思っています。

――その七五調であったり、リズム感を大事に書かれた台詞というものが、中島かずきさんならではの魅力でもある、と。

本当に、おっしゃる通りです。いのうえさんの演出と、中島さんの書かれる台詞、このお二人あってのものなので。本を読むだけで、いわゆる1ファンのような感覚で言うと「待ってました! この感じ!」みたいな気持ちになれるんです。正解をすぐに出してくださるというか、基本の型がもう決まってる感じなので。

――それが、べースとなっているから。

そう、本当に歌舞伎と一緒で型があるので。稽古でもまずは先輩方に教わって基礎となる部分を固めていって、そこからあとは自分が演じる兵庫という役ならではの魅力であったり強みであったり、そういった部分をちゃんと足していき、最終的には千之助の兵庫という役が出来たらいいなと思っています。

――その、兵庫役としてオファーが来たことに関しては。

とても、意外でした。

――やっぱり、そうですよね(笑)。

嬉しさもありながら、ですけど。素の自分としては、ここまで陽気なキャラではないので。誰だったら、一番自分に近いかな……やっぱり、蘭兵衛かなあ。

――ほお、そうなんですか。

ですが「今、自分の中にあるお芝居への想い、表現をすることに対する熱を、そのまま爆発させてみてほしい」というような形でオファーをいただいたので。本来はタイプの近い役を演じるほうが、ある種“ニン”だったり当たり役になりやすいものかもしれないんですけどね。だけど今回は、もちろん兵庫に求められている陽の部分、元気さ、ハツラツとした部分をベースにして作りたいと思いますけど、そこに僕がもともと持っている陰の部分のニュアンスみたいなものも含めながら、作ってみたいなとも思っています。

――陰の匂いも漂う、新しい兵庫が生まれるかもしれませんね。

できれば、ですけどね(笑)。陰があるからこそ陽が光るし、陽があるから陰も深くなるし、という意味でもバランスのいい作り方が出来たらいいなと思います。

――ファンの方々も、この役をやられることには驚かれているのでは。

そうでしょうね。「兵庫なんだ!?」って。でも僕ももう、ここ2~3年歌舞伎の舞台に立っていないので、その点ではちょっと近いかもしれない舞台に出るわけでもあり。僕としては今回、ここでまた得られる新たな経験を糧にして、またいつか歌舞伎の舞台のほうにも出られたら、と思ってはいるんです。みなさんに「千之助、こんな役も出来るんだ!」と思っていただけるように、自分の役者としての幅を広げるということでもいろいろと挑んでみたいです。

――今回はさらに、アクションに挑戦することも大きな要素なのかなと思いますが。

歌舞伎とは、全然違いますからね。あそこまで速い殺陣は経験したことがないので、ほぼほぼド素人かもしれない。ただ幼な心にはこうしたスピード感のあるアクションはカッコイイな、いつかやってみたいな、と思っていましたね。

――やっぱり男の子としては憧れがありましたか。

ええ。ただ、今ちょっと残念に思っているのは、“刀”を振り回したかった……!

――ああ、“抜かずの兵庫”ですからね。

刀を背負っていても、抜かないですからね(笑)。今までやってきた、歌舞伎の立ち回りは基本的に刀を使うものばかりなので。刀がないとなると……じゃあ、どうやって綺麗に見せようかと。そこはすごく難しそうです。

――本当に、今回は初めての経験だらけになるかもしれないですね。

いや、本当にそうです。

――最後に、お客様に向けて何かお誘いのメッセージをいただけたらと思います。

僕、個人としては兵庫のように元気ハツラツとして、軸のブレない精神、気持ちを持って臨みたいと思っておりますので、ぜひその姿を観にいらしていただきたいです。

――初めての千之助さんを、目撃できそうな気がします。

どうでしょうね~、でも確かにそうかもしれません。最近は死ぬ役が多かったりして、暗いお芝居ばかりやっていましたし。

――では、ここでちょっと。

ひと暴れしますか! 意外と、暴れるのは好きなんで。

――ぜひとも、大暴れしてください!(笑)

はい、頑張ります!

TO ALL CAST

初めての『髑髏城の七人』は? 当時の感想は?

『花髑髏』を観た時に魅力に感じたのは、やはりあのテンポと立ち回りと、いい意味で話がわかりやすいところ、それでいて人間描写は深くて。そしてこれは劇団☆新感線のお芝居全部の共通項ではあると思いますが、エンターテインメントとして素直に乗っかっていける楽しさがある。観る側としては、そこは大きなポイントかなと思いますね。それにしても今回が本当に最後なのかな……。ま、“ラスト”と言ってもいろいろやり方がありますからね。とはいえ、本当だったとしたら「これが最後で良かった」と思っていただけるよう、しっかり努めたいです! 

PROFILE

片岡千之助(かたおか・せんのすけ) 2000年3月1日生まれ 東京都出身
2004年、歌舞伎座にて4歳で初舞台を踏む。12年より自主公演「千之会」を主催。17年にはペニンシュラ・パリにて歌舞伎舞踊を披露するなど、国内に留まらず海外にも活躍の場も広げ、表現者として邁進している。23年に『メンドウな人々』で映画初主演を務めるなど、歌舞伎以外にも映像や舞台作品にも出演している。歌舞伎公演以外の近年の主な出演作に【舞台】『ハムレット』(25)、『ヒストリーボーイズ』(24)、【映画】『爆弾』(25)、『九十歳。何がめでたい』『わたくしどもは。』(24)、【ドラマ】『あきない世傳 金と銀2』(NHK BS・25)、『光る君へ』(NHK・24)、『橋ものがたり 約束』(時代劇専門チャンネル・24)などがある。劇団☆新感線には本作が初参加となる。