――劇団☆新感線には『メタルマクベス』disc1(2018年)以来、2回目のご出演です。今回お声がかかって、しかも『髑髏城の七人』だと聞いた時の率直なお気持ちとしてはいかがだったでしょうか?
正直に言うと、最初は怖いなって思いました。
OFFICIAL COMMENT
正直に言うと、最初は怖いなって思いました。
『メタルマクベス』の時は、本当に命からがらだったんで(笑)。もちろん、以前から新感線のことは知っていて、いつか参加させてもらえたらとは思っていたんですが。あそこまでハードだとは、想像以上でした。誰もが出たいと思われている新感線さんですから、再び声をかけていただいて嬉しかったですが、瞬時に「そうか、だったら身体を鍛えておかなきゃ!」とも思いました。
僕、『髑髏城の七人』っていろいろな方が演じたのを何本も観てはいるんですが、脚本では読んだことがなかったので、いろいろと感慨深かったです。本で読まないと、ト書きとか、前書きや後書きみたいな文章は読めないじゃないですか。
今、出ている大河ドラマ(『豊臣兄弟!』)でも、ちょうど同じ時代のものをやっていまして。いろいろ調べていくとあのあたりの時代って、謎がいっぱいあるんですよね。中島さんの脚本は、そういう史実に基づいた、特に資料があまり残っていないような部分を頭の中で想像して書かれていたりもするので。別に“説”を唱えているわけではないんでしょうけど、その中島さんの説って、もしかしたら結構当たっているんじゃないかなと思うことがすごく多いんですよ。僕は、中島さん作品では『ジャンヌ・ダルク』(2010、14年)と『真田十勇士』(2013、15年)でお世話になったんですけど、その時にも思った気持ちがまた蘇ってきてちょっと感慨深かったです。
いっぱいありますね。刀鍛冶が刀に恋しているところとか、オモシロのシーンもかなり好きです。また、とても語感のいい台詞が多くて、いかにも中島さんらしい作品だなあと思いました。こんなこと言うと、きっと中島さんに怒られるだろうけど、現代のシェイクスピアじゃないかなと思うんですよ。今回これで最後の『髑髏城』だと言われていますけど、ずっと残っていく作品だと思いますし、今はエンターテイメントの最高峰として扱われていても、10年後くらいにはまた見方が変わっていく作品になるんじゃないのかなと思うんですけどね。
前回、いのうえさんには迷惑をいっぱいかけました。いのうえさんの演出って、ちょっと変わっていて。「何歩歩いて振り返って、ここで台詞を言う」と細かく指定されるんですが、僕は今まであまりそういう演出を受けた経験がなくて。しかも、その際にいのうえさんが目の前でやってみせてくれる芝居が、なによりも面白いんですから。
稽古中に聞いた言葉で、正確には覚えていないんですけど、僕の中で解釈したのは“役者の基本は浄瑠璃のようなこと”なのかな、と。浄瑠璃という言葉は、いのうえさんは使っていなかったんですけどね。つまり構造として役者が役を演じるというのは結局、浄瑠璃の人形を遣うことに近いのかも、と感じたんです。それがすごく印象に残っていますね。前回は憧れの新感線への初参加で、自分でも気負ったものがあったんですが、今回は一度経験しているのでとりあえず、何も考えずに挑もうかと思っているところです(笑)。
難しいですよね。狸穴二郎衛門ではあるけど「実は……」という役柄なので。台詞で説明するのではなくちょっとしたことで存在感を匂わせたりすることって、やはり簡単なことではないですしね。まあでも世を忍ぶ仮の姿でいる時のほうが長いので、その中で風格や品格をどうやって保てばいいだろう?ということですね。でもそこはあまり悩み過ぎず、いのうえさんにお任せしながら自分なりのものを見つけていきたいです。
出演が決まった時から、身体を鍛えています。まあ、他の仕事との兼ね合いもあったのですが、人生で初めてパーソナルトレーニングに通っております。
そもそも身体を動かすのが好きじゃなくて、あまりやったことがなかったんです。だけど年齢も年齢ですし、アクションが求められることが今でも結構多いので、ここらで一発、少しは元に戻さなきゃなと決心しました。ちょっと前までは、もう諦めていたんですけどね。このまま老化したとしてもそれはそれで頑張っていけばいいじゃないかと。だけど一応、身体は復活してきたので、まだまだ動けるな、だったらもうちょっと頑張ってみようと思った次第です。この仕事も、体力勝負なところがありますから。
今回は、アクションはないんだろうなと予想していますけど、万が一の時のことを考えて。それに単に芝居するだけで大変なんですよ。いのうえさんが要求するものに応えようとすると、結構動きますし、ワンシーン終わると汗びっしょり!みたいなことを前回、体験しているので。
この中で頼みの綱は、俺よりさらに年上の粟根さんだなと(笑)。だって、なかなかプレッシャーですよ、この顔ぶれの座組で自分が年上になるというのは。責任ある行動の一つや二つ取っておかないといけないのかな、なんて考えたりして(笑)。だけど、このメンツは本当に楽しみでしかないです。まずは、若いみなさんに仲良くしてもらわないといけないですね。その中で僕の役というのは、周りの方々とはちょっとだけ違う色合いなのかなという印象を受けていますけど。
じゃ、頑張ろうかな……。いや頑張ろう、頑張ります!(笑)
いのうえさんの演出では、ということなのかもしれませんが、今回はこれで最後だとおっしゃっている『髑髏城』ですからね。とりあえず、これを見逃す手はないんじゃないかなと思います。注目の若いキャストも大勢出ていますし、この劇団になくてはならない存在になられている早乙女太一さんも、新感線の看板をはるのはこれが初めてですよね。僕だって自分が出ていなかったら、100%観に来ていたはずの必見の舞台ですから! ぜひとも大勢の方に観に来ていただきたいと思います、よろしくお願いします!!
TO ALL CAST
初めて観たのは、古田新太さんが捨之介と天魔王の一人二役だった『アカドクロ』(2004年)ですね。天魔王の仮面が取れた瞬間、そこに古田さんの顔が見えた時には「オオッ!」と思いましたし、やはり噂通りの面白さでした。その後、小栗旬さんや阿部サダヲさんの捨之介も観ています。ちなみに、確か『アカドクロ』は後輩から「“ヨシダシンタ”ってすごく面白い俳優がいるんですよ」と誘われて観に行ったんです。「ヨシダシンタって誰だろう?」と思っていたんですが、途中で「古田新太さんのことじゃね?」と気づいて大笑いしたことを今、思い出しました(笑)。
PROFILE
山口馬木也(やまぐち・まきや) 1973年2月14日生まれ 岡山県出身
1998年に映画『戦場に咲く花』で俳優デビューし、2000年に蜷川幸雄演出『三人姉妹』で初舞台を踏む。03年よりドラマ『剣客商売』(CX)に藤田まことの息子役として出演し、以降数多くの時代劇をはじめ、テレビ・映画・舞台と幅広く活躍。俳優生活25周年という節目の年に映画『侍タイムスリッパー』(24)で長編映画初主演を務め大ヒットとなり、第37回日刊スポーツ映画大賞・石原裕次郎賞、第48回日本アカデミー賞、第67回ブルーリボン賞、おおさかシネマフェスティバル2025と数多くの賞で主演男優賞を受賞している。近年の主な出演作に、【舞台】『WAR BRIDE-アメリカと日本の架け橋 桂子・ハーン-』『ROCK MUSICAL BLEACH~Arrancar the Final~』(25)、【映画】『時給三○○円の死神』『木挽町のあだ討ち』(26)、【ドラマ】『豊臣兄弟!』(NHK・26)、『銀河の一票』(KTV・26)などがある。劇団☆新感線には『メタルマクベス』disc1(18)以来2作目の参加となる。